こんにちは!今日は「御室流いけばな」の魅力について、日常に取り入れやすい視点でお話しします。知れば知るほど奥深く、暮らしに静かな彩りを添えてくれます。
私自身、はじめは「難しそう」「敷居が高そう」と感じていましたが、学び始めてからはその印象が一変。花と向き合う時間が、忙しい毎日の中での贅沢な「自分時間」になりました。
御室流はいけばなの稽古を通じて、季節の移ろいに気づき、花の命と対話するひとときを大切にします。伝統を尊びつつ、現代の生活空間にも自然になじむのが魅力です。
いけばなに興味はあるけれど一歩を踏み出せていない方、新しい趣味を探している方に、始めやすいヒントをお届けします。
1. 寺院の門をくぐると見える——御室流いけばなの美しさの核
寺院に伝わる花をいける営みは、建物や庭だけでは伝えきれない美意識を感じさせてくれます。御室流はいけばなとして、自然の姿を尊び、季節を映すことを大切にしてきました。庭の風景や季節の気配から得たインスピレーションを、線・面・空間のバランスで表現します。
境内の行事や展示の機会には、季節の花がいけられることがあります。春の桜、夏のみずみずしい葉物、秋の実ものや彩り、冬の凛とした枝もの——それぞれの「らしさ」を引き出す視点が、御室流の核にあります。
2. 基本テクニック——初心者でも作品が整うコツ
御室流の学びでまず重視するのは、季節感と空間(間)の活かし方です。
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花材選び:その時期らしい花や枝を選ぶと、少ない本数でも季節が伝わります。
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間(ま):花を詰め込みすぎず、呼吸できる余白を残すと全体が品よくまとまります。
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役割の考え方:主となる「真」、それを支える「副」、全体を受け止める「体」という三役の考え方を手がかりに、長さ・角度・向きを調整します(比率は花器や花材によって柔軟に)。
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器選び:花を引き立てる落ち着いた器が基本。主張しすぎない色や形は使い回しがききます。
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手入れ:水替えの際に切り口を新しくして水揚げをよくし、涼しい場所に置く——この基本だけでも持ちが変わります。
3. 御室流いけばなの背景——育まれた美意識
御室流はいけばなの一系統として、仏前に花を供える行為や、季節を映すしつらえの中で、自然への敬意と調和の感覚が育まれてきたと語られます。今日では、古典的な考え方を土台にしながら、現代の空間にも合わせた表現が行われています。催しや展示の機会に触れられることもあり、伝統と今を行き来する多様な作品が見られます。
4. 四季の花材選び——日本の季節感を作品に映す
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春:芽吹きや蕾の表情、柔らかな色合いを生かして生命感を表現。
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夏:みずみずしい葉や涼感のある花材、水盤の水面の見せ方で清涼感を。
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秋:実もの・穂もの・色づく葉で「移ろい」を重ね、濃淡のリズムを作る。
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冬:枝ぶりの美しさや常緑の強さで凛とした空気を出し、控えめな色で静けさを演出。
どの季節も、「いま」を象徴する一枝一花を選び、量より質で空間を整えるのがポイントです。
5. 日常に取り入れる——花のある時間がもたらす豊かさ
いけばなは、少ない本数でも空間を変える力があります。朝の数分で花器の水を替え、一枝を整えるだけでも、部屋の空気が澄みます。道具は最小限(剣山・花鋏・浅い器)でもスタート可能。続けるほど、花材を見る目と配置の勘が育ちます。
忙しい日々の中でも、季節の一枝に向き合うことは、気持ちを整え、生活のリズムを取り戻す助けになります。御室流の学びを通じて、自然と調和する感覚を日常に少しずつ取り戻してみませんか。