こんにちは! 京都といえば誰もが金閣寺や清水寺を思い浮かべますが、実は同じ市内に “花の文化財” とも呼びたくなる寺院があります。それが世界遺産・仁和寺。そして、このお寺の歴史とともに受け継がれてきたのが「御室流(おむろりゅう)」という華道です。
今回は、世にあまり出回らない御室流の魅力を、できる限り確かな通説だけに絞ってご案内します。細かな年代や人名のうち裏づけの弱いものはバッサリ省き、口語のまま読みやすさ優先でまとめました。どうぞ気楽にお付き合いください。
1 御室流ってざっくり何?
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発祥の場所:京都・仁和寺
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大きな特色:
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仏教儀礼と深く結びつく花型
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「自然のまま」に重きを置く素朴さ
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一般公開の機会が少なく、寺内中心で継承
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要するに、観光パンフレットに載る “町なか体験教室” とは少し距離のある、寺院由来の花道なのです。
2 「一般公開が少ない」=排他的なの?
確かに御室流は他流派に比べて披露の場が限定的。ただ、それは「閉ざすため」というよりも
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儀式の花として寺の日程と連動
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教えの中心が口伝で、文章化されたマニュアルが少ない
という事情が大きいようです。近年は年に数回、寺の行事に合わせて作品展示が行われるので、拝観チャンスはゼロではありません。
3 基本の花型と考え方
● 七つの基本形
“七種生け”とも呼ばれる型が伝えられています。詳細は公開資料が限られますが、古典的な立体構成をベースに、花材ひとつひとつが仏教的な象徴を担うとされます。
● 「間(ま)」重視
御室流が強調するのは、花そのものよりむしろ花と花のあいだの空気。空白を祈りの空間と見立てる考えは、現代のミニマルデザインとも相性が良く、写真にすると凛とした余韻が残ります。
4 皇室ゆかりの寺と流派
仁和寺は昔から門跡寺院――つまり皇族がトップを務めてきた寺として知られます。そのため、御室流にも宮中美意識が影響していると考えられています。ただし「皇族しか学べない」というほど厳格ではなく、近年は研修会や展覧会で一般の目にも触れるようになりました。
5 初心者でも楽しめる3つのヒント
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展示の日程を公式情報で確認
仁和寺の公式サイトや発信をチェックし、花展や行事の日を狙って訪れると実物を鑑賞できます。 -
余白を真似してみる
家で一輪挿しをするとき、あえて器の中に空間を残し、茎の傾きでリズムをつくる――これだけでも御室流的な雰囲気が出ます。 -
朝夕の光で撮影
余白を強調する構図は柔らかい斜光と好相性。寺院の静けさと花の輪郭がいっそう際立ちます。
6 SNS時代の御室流
最近は拝観者がInstagramなどで写真を共有し、ハッシュタグ経由で国内外に広まるケースが増えました。
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映えるポイント:低めの花器+伸びやかな枝、そしてたっぷりの余白
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編集のコツ:彩度を大きく上げず、自然光のグラデーションをそのまま活かす
「派手に盛るより、静かに余韻を残す」ほうが御室流らしさを損なわずに発信できます。
7 まとめ──京都観光の“穴あき時間”にちょっと寄り道
清水寺や金閣寺をめぐる合間に、仁和寺で御室流の展示に出合えたら、それはかなりラッキー。
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派手さより静けさ
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豪華さより余白
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技術より祈りの気持ち
そんなキーワードが腑に落ちる体験になるはずです。京都通の方も、まだ行ったことがない方も、次の旅ではぜひ仁和寺の公式情報をチェックしてみてください。千年単位で受け継がれる「花と祈りの美意識」に、きっと心が整う瞬間が訪れるでしょう。